2022.08.22
8月16日~21日にかけて、伊豆の出張手術に行ってきました。
一般診療と掛け持ちで、野良猫の過剰繁殖問題にも多大なる貢献をしていただいている先生のもとで、診療の傍ら、計74頭の野良猫に手術を施すことができました!
富士山麓の水と自然がとても豊かな環境の養鱒場(マスの養殖場)での猫の大繁殖・・・
生魚を主食とする野良猫たちは、どの個体も栄養状態が悪く、中年齢を過ぎた個体に関してはほぼ全ての個体で黄色脂肪症(※)を発症していました。また、口腔内の状態が悪い個体が多く、感染症の他、マスの小骨が歯肉に刺さり、激しい炎症を起こしてご飯を食べることができなかった個体においては、極度の削痩と脱水で苦しむ姿がありました。
ケアが必要な子に関しては適切な処置を行い、術後の回復を願うばかりです・・・。
術後の猫たちを連れて捕獲現場にも訪れ、リリースのお手伝いもさせていただきました。
外で暮らす猫たちの環境は過酷です。野良猫は野生動物ではなく、もともとは人間が愛護動物を遺棄し、増えてしまった動物達です。
目を向けなければ誰にも気づかれない命。数が増えて厄介者になってから疎まれる命。もともとは人間が蒔いた種。人間がもう少し賢くなって、共生への歩みを進めていくことができたら、人知れず苦しむ命がどれだけ救われることでしょう。
※黄色脂肪症:不飽和脂肪酸の過剰摂取、すなわち生魚の長期摂取によりお腹の中の脂肪が過剰に酸化して黄褐色のセロイドという物質が沈着し、自分の体を異物だと認識して炎症が生じてしまう病気。